当事業所では、子どものペースに沿ってABA (応用行動分析)を用いた療育を行います。
ABAは1930年台にアメリカのスキナーをはじめとする行動主義の考えから生まれたものです。
人間の行動は学習によって習得されたものであり、不適切な行動は誤った学習の結果として起こるという考え方に基づいて、主に自閉症児や発達障害児に対して以下の目的で用いられます。
望ましい、正しい行動を教える (コミュニケーション、食事、排泄などの生活スキル、他) |
望ましい行動を維持、般化させる (家庭や学校で適切な行動がとれるようにする) |
問題行動を減らす (自傷行為、他害行為、こだわり、癇癪) |
具体的には、ある行動の直後にその子にとって褒美となる刺激があると、以後その行動は増加し(強化)、一方、行動の直後に良いことがないとその行動は減少する(消去)、という2つの原理を利用していきます。
DTTとABC分析
ABAの中心的な手法の一つとしてDTT(離散試行型指導法)があり、
セラピストと子どもが1対1で主に机上で椅子に座りながら行う指導法です。
人間の行動はA(先行刺激)、B(行動)、C(結果)という3つの要素から成り立ちます。
A 先行刺激(Antecedent):どんなときに・きっかけ
B 行動(Behavior):どんな行動をして?
C 結果(Consequence):どんな結果になった?
つまり、Aのとき(場所や人、環境的など)、
Bをしたら、Cになったという形です。これに当てはめて考えていきます。
問題の原因を見つける
ほとんどの問題行動は次の4つの強化子のうちのどれかによって強化されていることが研究で明らかにされています。
子どもの問題となる行動を引き起こす原因が右図の4つのどれに当たるのかを見分けます。
どんなときに:おもちゃ売り場を子どもと通り過ぎようとしたら
どんな行動をして:突然癇癪を起して泣き叫び始めた。
どんな結果になった:子どもはおもちゃを買ってもらった。
※お菓子を買ってもらうことによって癇癪が強化されているということが推測できます。
4つの行動のうち「要求の実現の強化子に当てはまることになります。」
行動の対処法
1.消去→子どもが癇癪を起しても絶対に要求を叶えないこと、叱ることも一種の注目行動であるため無視をする手法のことです
2.他行動分化強化(DRO) →先ほどの例では、おもちゃ売り場に到着する前に「泣かないでいい子にしていたらお菓子をひとつ買ってあげるよ」と言葉掛けをし、泣かずに通れたら沢山褒めてお菓子を買ってあげるなどの方法です。
3.事前の工夫→問題行動が起こりにくくなるように、予め物理的、時間的な環境を調整しておきます。特定のものがパニックや癇癪を引き起こすのなら、それが目につかないように取り除いたり隠したりしておきます。
4.罰→他の方法がどれもうまくいかない場合最後の手段として用いることがあります。
ABA・DTTトレーニングを積み重ねていくと個々の発達段階に応じて初級~上級(一部)の支援を行うことができるようになります。(図参照)特に自閉症スペクトラム児へ早期に支援を行うことが最も効果が高いとされており、科学的にも実証証明されています。
1)ABA・DTTの個別療育)のプログラム例
※上記の内容は一部です。他にも発音練習や文章の組み立てなどの言語の支援も行っています